すでに本帰国したマムチャイナのスタッフが、この4月に岩手県釜石市にボランティア訪問したときの様子を伝えてくれました。北京のマムチャイナのスタッフは、この訪問に向けてアイシングクッキー包装袋や参加者お土産用の折り紙を準備して日本に届けました。
4月1日の夕方釜石入りしました。
あちらはまだまだ寒く、ぼたん雪もちらつく寒さでした。
現状は、やはり写真で見るよりもショックです。津波被害をうけた建物がまだ取り壊しされていなかったり、基礎だけの住宅あとが、「こんなところまで・・・」と思うほど海から離れた場所まで続いていたり・・・。
でも一番の衝撃は、瓦礫の山々でした。あの状態を見たら、日本全国がもっと協力し合って、早期の瓦礫振り分け・処分を期待せずにはいられませんでした。
2日。宿泊していた「宝来館」(
http://houraikan.jp/)という旅館からほど近い仮設住宅の談話室にてプチイベントを開催。
子供向けに「クッキーアイシング体験」と大人も参加できる「折り紙花かご作り体験」にすることに。
実施場所は仮設内の15畳の談話室。午後1時〜4時の3時間。
参加人数は子供6名、ママ2名、おばあちゃん4名の計12名。
子供はやはりみんなクッキー目当て。ハート・ヨット・ケーキの3種類を焼いていきましたが、6人で40枚全部やりつくし、満足した様子でした。
大人はみなさん折り紙でした。中には、「普段はこないけど「折り紙」だったから来たのよ〜。」という方もいらして、嬉しい限りでした。花かごは作りやすいので、そちらを折っていただいて、あとは組み立てだけ。というスタイルでやりました。
が。
みなさん興味を持たれたのは折り紙の「バラ」
「それはどうやって作るの?」
から始まり、私が「これは難しいですよ〜〜〜」
と言うと、「じゃあ私はバラだけでいい!!」
とみなさん興味津々でした。
ある程度予想はしていましたが、予想を超えるみなさんの食いつきに、急きょ「バラ講座」に変更。
「難しいから覚悟してください!!」
とあらかじめ断り、1時間かけて作り上げました。
驚いたのは、誰1人脱落者が出なかった事。小さな女の子と、小学生3年生くらいの女の子が脱落しましたが、大人は全員作り上げました!!途中「あ〜〜、もう無理だ!!こんなに難しいとは思わなかった!!」とさじを投げそうになりながら、なんとか全員出来上がりました。
みなさん、作り上げたお顔は晴れやかでしたよ♪
「できると嬉しいでしょう!?」と聞くと、みなさん嬉しそうに「じじに見せるわ。」「家に飾ろう」「コサージュみたいねぇ」とおっしゃって下さいました。
でもみなさんが口をそろえて最後に言った言葉は「でも二度と折れない!!!」
でしたよ(笑)
そしてもうひとつ驚いたのは、4月から1年生になる女の子が作り上げたこと。一 番難しい部分は私が折ってあげましたが、説明を聞く眼は真剣でした。そして出来上がった時の笑顔。
最高でしたよ。
その子ともう1人、今度1年生になるという男の子が、帰り際に「また来てね!!」と言って抱きついてきてくれた時は、涙が出そうになりました。
そして、折り紙が終わって雑談していた時、参加者のおばあちゃん達が話していたことが忘れられません。片づけをしていた時、横から聞こえてきました。きっと被災者同士だから話せた内容だったんでしょうね。
そのまま書きます。
「私はつい最近まで泣けなかったんだ。人と話してて、笑うのはすぐに出来るようになったんだけどね。年が明けて初めて泣けたよ・・・・。」
「あ の景色見ちゃうとね。泣く余裕なんてなかったよ。」
「もうほんとに呆然としちゃってねぇ・・・」
「言葉も出せないくらい、本当に呆然となったよ。」
「家がなーんにもないんだもんねぇ」
「もうどうしていいかなんかわからなかったよ。でも今は泣けてよかった。」
その会話を聞いたら、もう質問も話もできなかったです。でも、参加者同士がこういう会話をできただけでも、私が行った意味があった気がします。
引きこもりになる方が多いという報道を耳にしていたので、どんなに小さなイベントでも、被災者の方々のメンタルケアのお手伝いができるんだなと思いました。
1人で何ができるだろう?私なんかが行って意味があるんだろうか?と、開催直前まで不安でしたが、みなさん笑顔で帰ってくれた時は、心から「来てよかった」と思いました。
迎えの車に乗り込み、仮設を後にするときは、子供たちが走って手を振って見送ってくれました。
北京からのみなさんの想いも預けてきましたよ。
「3.11とどけ愛心」の寄せ書き、どこもすでに多くの寄せ書きがあったりだったのですが、宿泊先の「宝来館」のおかみさんが、積極的に復興活動をされていて快く受け取って下さいました。
聞けばおかみさん、震災後に知り合った台湾テレビの記者さんから教えられた中国語に心が救われたそうで、不思議な縁を感じました。
宝来館の女将さんのお話しから。
震災後に取材に来ていた台湾の記者さんから教わった中国語で、女将さんは気持ちが救われたそうです。
その時に教わった中国語は「読心」
私は知らなかったんですが、なんでも「読心」と書いて、芸術家・芸術をする人の事をいうんだとか。
芸術をする人は、人の心が読める、人の気持ちがわかる。という所から来ているそうです。
(うちの電子辞書では出てこなかったので、詳しい意味はわかりません。ごめんなさい )
震災でご自身も精神的に打ちひしがれていた時に、この言葉を聞いて、女将さんは「私も人の心がわかる人間になっていこう」と、復興への努力をしていこうと決心されたそうです。
そして、今もこの言葉の縁もあり、音楽や芸術のイベントを企画・運営して、被災者の方々のメンタルケアに務めていらっしゃいます。
女将さんに預けてきた「とどけ愛心」の寄せ書きも、次回4月下旬に開催されるイベントでも掲示してくださるそうです。
ボランティア訪問の報告は以上です。
離れた北京で震災支援の活動を続けているアクションマムチャイナですが、イベントにご来場下さり義捐金を託して下さったり、応援の声を掛けて下さったり、震 災以来いつも温かく支えて下さ る北京のみなさまに、私達の支援が実際に被災地の方々とつながったことをご報告できて、感慨深く思います。他の支援団体への義捐金はもとより、こうした対 面での交流の機会が実現でき、現状と生の声を聞かせて頂くことで「被災者に寄り添う継続した支援」の大切さを改めて感じました。